厚生労働省が発表した2016年のがん患者数で、人口10万人当たりの香川の患者数は436.7人(全国402.0人)で、全国で3番目に多かった。人口10万人当たりの男性の前立腺がん患者数が全国で2番目に多く、国立がん研究センターは「前立腺がんが全体を引き上げた可能性が高い」とみる。香川は糖尿病の受療率が高いことにも触れ、「肥満や糖尿病は大腸がんなどのリスクとなる。健康的な生活習慣を心掛けてほしい」としている。
■男女とも上位に
厚労省によると、16年に新たな「全国がん登録制度」が始まり、がん患者を診察した全ての病院に患者情報の登録が義務付けられた。今回はそのデータを基にした初めての公表で、従来よりも実態に近いデータになっているという。
16年の香川のがん患者数は8938人(男性5232人、女性3706人)。人口10万人当たりの患者数は男性が全国4番目、女性が同6番目に多かった。
部位別は胃がんが最も多く1276人。肺、大腸、前立腺、乳房と続く。
男性は前立腺が最多の931人で、胃、肺、大腸、肝臓の順。女性は乳房が最多の748人、大腸、胃、肺、子宮と続いた。
■高い検診受診率
県は「詳細な分析はこれからだが、がん検診の受診率の高さも要因の一つではないか」とする。市町が行い、自費診療よりも安価ながん検診。16年の国民生活基礎調査によると、国が推奨し全市町が実施する胃、大腸、肺、乳房、子宮の五つのがん検診の受診率は全国平均を上回り、3~11番目となっている。
今回、患者数の増加につながった前立腺がんは、県内15市町が検診の対象にしている。人口10万人当たりの県内男性の患者数は82・9人に上り、全国の68・3人を大きく上回った。
■対策の実践重要
国立がん研究センターは、科学的な根拠に基づくがん予防策として、▽たばこを吸わない▽節度のある飲酒▽塩分を抑え、野菜を食べる▽体を動かす▽適正体重の維持▽感染検査―の六つを挙げて「健康習慣の実践を」と呼び掛ける。
実際、人口10万人当たりの患者数が上位だった北海道や東北地方について、担当者は「高い喫煙率や塩分摂取量を背景に、胃がんや肺がんの患者数が非常に多く、全体を引き上げたと考えられる」とみている。
県は今後の取り組みについて「健康作りの観点だけではなく、予防の観点からも生活習慣の見直しを呼び掛けたい。がん検診も受診率は増加傾向にあるが、一番高い肺がんでも50%超。一層のアップに努めたい」としている。
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