各地で公立高校の入試が始まり、大学入試も山場をむかえました。受験シーズンもまっただ中。この時期に対して、どのように向き合い、どのような気持ちで乗りこえていくと志望校の「合格」に近づくことができるのでしょうか。東京大学(文科一類1年)に通うAさんに自身の経験について話を聞きました。(山田泉)
独自の「思い込み」で心に余裕
Aさんは高校2年生ぐらいのころから、漠然と東京大学(東大)を進学先として視野に入れ始めました。通っていた高校(千葉)から東大に進学する先輩たちが多かったのが理由の一つです。
所属していた図書委員会などで先輩たちと交流する機会が多く、自然と東大への進学を考えるようになりました。
高校のころ、勉強の成績は比較的、上位で安定していましたが、いつ下がるかわからないというプレッシャーをいつも感じていました。その一方で、根をつめると無理がかかるので、勉強をやりすぎないことも心がけていました。息抜きとして、徹夜で漫画を読んだり、ショッピングに出かけたりしました。
Aさんは「受験勉強は基本的に一人の戦い」と考えますが、自身が受験する直前には友達とのおしゃべりが増えました。昼休みなど、ときには時間を忘れることもあったそうです。「緊張を解きほぐす効果があった」と、ふり返ります。
支えてくれる言葉を胸に
メンタルの面で支えになったのは、先輩たちの合格体験記に盛り込まれていたり、先生からおくられたりした言葉の数々でした。
「受験においてもっとも大切なのは、自分をよく知ること」(合格体験記から)
「自分のやるべきことをやり尽くしたら、あとは運で決まる」(合格体験記から)
「ゴールの見えない山登りだ。ゴンドラリフトもヘリもない。見えないものを見ようとせず、己の足元と、己が歩いてきた道を見なさい」(理科の先生から)
Aさんが特に意識した言葉の一つが「きょうできることを、きょうできない人は、明日もできない」。勉強をサボりたいという気持ちがむくむくとわいてきたときなどに思い出して「きょうできるのだから、やっておこう」と、気持ちを切り替えるきっかけにしました。
試験開始直前に靴をはく
入試の直前やまっ最中の期間、Aさんは「まずは落ち着くことがいちばん大事」と考えました。そのために取り入れたのが「ルーティン」です。一続きの決められた動作などをすることで、気持ちを集中させました。
Aさんのルーティンは「試験が始まる直前に靴をはく」こと。大学入試センター試験やそれぞれの大学で入試に臨むとき、会場に入るとまず靴を脱ぎました。そして試験が始まる5分前になったらはき直しました。こうすることで気持ちをぎゅっと引き締めたといいます。
さらに、周りの受験生たちを見まわしたうえで「わたしは、ほかの人たちを、余裕をもって見ることができるんだ」と自分自身に言い聞かせ、心に余裕をつくり、自信にも結びつけました。
自宅では「イチゴを食べると合格する」と決めておき、試験前などによくイチゴを食べました。自分なりの「縁起かつぎ」をつくっておくことも、普段とかわらない気持ちを保つ効果があったといいます。
入試の期間中、Aさんが心がけていたのは「試験でミスをしても自分を責めずに次に進むこと」でした。前向きな気持ちに切り替えようと、たとえばミスをしたときは「きっと、みんなも同じミスをしているだろう」、問題が難しくて答えられなかったときは「あれは、問題が悪かったのだ」と思い込むようにしました。
入試に臨む受験生のみなさんに対して、Aさんは「気持ちをポジティブに変換するためには『思い込み』も効果的」とエールを送ります。
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